2010年8月30日月曜日

ホワイトデー

俺、結構モテル方で色んな女に言い寄られたよ。
皆綺麗だったり可愛かったりしたけど、誰に言寄られても
何か気が乗らなくて、その中の誰とも付合った事無かったんだよね。
バレンタインの時も結構な数のチョコを貰ったんだけど、
その中に、名前に見覚えはあるんだけど顔の浮かんでこない子のチョコがあったんだ。
皆手渡しでくれる中、その一つだけデスクの上に置いてあったから
後でお礼を言おうと思って、同じ課の友人にその子の事を聞いて話しかけてみたんだよ
その子は雰囲気が暗くて全体の印象も地味でなんだか精気に欠けるような子だった
俺が「チョコアリガトね」と言うと、「すみません、私みたいな・・・」って
聞き取れないくらいの声で言ったんだ。今まで接した事の無いタイプの女性だったよ
それから何かその子の事が気になって、何度か話しかけたりしたんだけど
「はぁ・・・」とか「いぇ・・」とかの反応だった。
それから暫くしてホワイトデーの日に、食事に誘ってみたんだ。
返事は「はい」とだけ貰ったんだけど、何か嬉しかったな。
食事の席では殆ど俺が喋ってたんだけど、流石に話すことも無くなって
暫く無言の時間が続いた。
暫く経って普段殆ど喋らない彼女が、どうして私を誘ったかと訊いてきたんだ
正直、俺もどうしてか判らなかった。俺が暫く無言で居ると
彼女は少しずつ自分のことを話し始めた。中学から虐められてた事、
職場では除け者だと言う事、これまでどう生きて来たかの経緯等・・・
そして最後に、私なんかを誘ったのは何故かともう一度訊いてきた。
こんな根暗で地味な私をどうして食事に誘ったかと。
俺は「確かに君は雰囲気暗いし今どきの女の子とは言えない。
けど、人を好きになるってのは見たままの外見や表面の性格だけじゃないだろ?」と答えた
俺はこの子の事が好きになってたんだなって、自分で実感したよ。胸の高鳴りとか
好きで堪らないって感じじゃなく、この子と居ると落ち着ける、安心できるって感じかな
「だから付合ってください」最後に俺はこう付け加えた。
彼女はその場で声を殺しながら大泣きしてた。
あれから2年と2ヶ月が経つ。彼女は相変わらず地味だけど、俺は彼女の事を愛し続けてる

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