2009年11月26日木曜日

ばあちゃん

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/10(火) 00:06:08.85 ID:F4Wqw+6X0
俺の母方のばあちゃん

いつもニコニコしていて、かわいかった。
生んだ子供は四姉妹。娘が全員嫁いだ後は長いこと老夫婦2人暮らしだった。
じいちゃんは20年前に亡くなり、そこから17年ほど1人暮らしだった。
ばあちゃんは3年前に亡くなった。92歳だった。
長い間1人で寂しかったと思う。けどいつもニコニコして、そんな事は一言も言わなかった。

火葬が終わり、親戚一同で遺品の整理をしている時に古い手紙の束が見つかった。
母たち--ばあちゃんの娘たち--は宛名を見て「戦時中の父さん(俺のじいちゃん)への手紙だ」と騒いでいた。
親戚一同でじいちゃんへのラブレターみたいなものだと思ってやいのやいのと冷やかした。
俺の母がそのうちの1通を音読し始めた。

「(じいちゃんの名前)さんへ。今日(俺のおばちゃんの名前)が風邪をひきました。
 豪雪で腰まで雪が積もり、電車も動かないので隣町(余裕で10キロ以上ある)まで背負って行きましたが
 お医者様はお休みでした。大事な娘を診てもらう事すら出来ないのでしょうか。
 このような戦争は早く終わって欲しいです。」

母さん、最後のほう、声かすれて読めなかった。親戚みんなも泣いてた。俺も泣いてた。
他の手紙も、全部、全部、娘--俺の母やおばさんたち--の事ばかりだった。
ばあちゃんが考えてたのは、ずーっと自分の子供の事だった。

俺は誓う。
もし俺の子供が風邪をひいたら、豪雪の中だろうと何十キロでも歩くと。
年を取ったらばあちゃんみたいな人間になると。


2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/10(火) 00:07:19.11 ID:F4Wqw+6X0
俺の父方のばあちゃん

ばあちゃんは優しい。果てしなく優しい。
俺の一番古い記憶が、家の近くの駄菓子屋にばあちゃんが俺を背負って連れてってくれたこと。
自営業で休日なんてない仕事だった両親に代わって、俺の面倒をずっと見てくれた。
作ってくれる料理は独創性が溢れてる。カレーにちくわ入ってる。弁当に野沢菜入ってる。
小学生の頃、乳がんの可能性があるってんで片方の胸を除去した。今はそこはあばら骨に皮がかぶってるだけ。
中学、高校の時に戦争があった。貴重な青春は全て戦争に奪われた。
今ほど差別に敏感でない時代、ばあちゃんはきっと胸のことで辛い思いをしたと思う。

じいちゃんとは幼なじみだった。家が50メートルしか離れてなかった。
じいちゃんは戦争から帰って来た後に
「お前みたいなやつは俺くらいしか貰ってくれないだろうから傍にいろ」っていってばあちゃんを嫁にした。
そのじいちゃんは数年前に亡くなった。
葬式終わった後に、ばあちゃんに「寂しいかい」って聞いたら「寂しいわね」って涙ぐんでた。

ばあちゃんは80歳を越えているが畑仕事もする。ばあちゃんの畑で取れた野菜は死ぬほどうまい。
こないだばあちゃんが「山にきのこ取りにいこう」って言ったけど「熊が出るから危ない」って説得した。
そしたらばあちゃん
「もし熊が出たら俺が食われてる間にお前が逃げりゃええ」って笑いながら言った。

ばあちゃんは優しい。果てしなく優しい。
俺は誓う。
もし山で熊が出ても俺はばあちゃんを担いででも逃げると。
俺が年を取ったらばあちゃんみたいな人間になると。


5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/11/10(火) 00:10:43.53 ID:tvApBO9k0
>>1まだネタある?

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/10(火) 00:12:34.15 ID:F4Wqw+6X0
>>5
ごめん、もうない。でも実話だよ。

皆のばあちゃんの話も聞きたい。
きっと俺のばあちゃんが特別なんじゃない。
皆のばあちゃんもきっと素晴らしいばあちゃんだから。
皆にとって特別な人だから。

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